「KCシリーズ」は金子眼鏡セルロイドの略であり、その名の通り素材にセルロイドを使用しています。現在殆どのメーカーが使用しているアセテート素材と異なり、扱いには非常に高い技術と多くの工程が必要になります。他の素材では決して出すことのできない独特の肌触りや質感、経年変化する深い色と艶が最大の魅力です。
その真価を引き出すために行うのが「寝かせ」と「磨き」の工程。セルロイドは長期間乾燥させ寝かせることで堅く丈夫な素材へ生まれ変わります。その後、全体の3分の2を占める重要な工程であるバフ研磨において、部位や工程ごとに何種類ものバフを使い分け、手磨きを繰り返すことで奥深い艶が生まれます。
KCシリーズにはテンプル(つる)に補強用の金属芯を打ち込まない「ノー芯製法」や、堅牢な「5枚丁番」など、鯖江伝統の製法を踏襲したモデルがある一方で、セルロイドを用いたまま一般的な製法で作られているモデルも存在します。求めるデザインとファッション性に対して機能を損なうことのない最適な作り方をすることで、幅広いラインナップを展開しているのがKCシリーズの特徴でもあります。伝統という礎があるからこそ、その枠を超えた新しいアイウェアを追い求めることができるのです。
磨きに高度な技術を要するセルロイド、細部まで設計されたデザイン。そのすべてに時間がかかります。しかしアイウェアは着用したお客様の一分一秒に寄り添う存在。そのことを心得ているからこそ、ネジ締め一本に至るまで徹底して手間を惜しみません。金子眼鏡の全ての作り手たちは、売るためだけに作るのではなく、その先にあるお客様のアイウェアライフを見つめ、誠実に手を動かし続けています。
「KV(金子眼鏡ヴィンテージ)シリーズ」はボストンやウェリントンのようなクラシカルなディテールと、現代のファッション性を兼ね備えた新しいヴィンテージの在り方を提案しています。時代という枠を大きく超えて、この先も色褪せずに揺るぎない魅力に満ちたアイウェアとしてあり続ける。それが金子眼鏡のヴィンテージです。